Short Story by Music
あの曲が小説になったら・・・
[11] [10] [9] [8] [7] [6] [5] [4] [3] [2] [15]
愛のかたまり
【小説】 愛のかたまり (参考楽曲 by Kinki Kids)
「こんな時間に電車に乗ったらダメだって言ったろ? 満員電車なんて何があるかわからないんだから」
「大丈夫よ、何もなく無事についたもん」
「無事だったからよかったけど、一人なんだし、また痴漢にでもあったら・・・あんまり俺に心配かけないで」
そう言って彼は大事な物を包み込むように、私を抱きしめた。
先週、二人で選んで納品されたばかりのソファの上で、裕に3人は座れるサイズなのに、端の方で私を膝の上に横座りさせている。彼は意識してない だろうけど、耳元で話す囁き声は、いつだって私を甘く酔わせるから、つい目を閉じてしまう。すると見えなくなった分、私の嗅覚は彼の匂いに敏感になり、肌 はその体温を普段以上に感じ取れるようになる。
「こっち向いて」
目を閉じたまま彼へ顔を向けると、唇同士が重なり、甘美な刺激を執拗に求め合う。
そう、いつだって、一緒にいれない時でさえ、私は彼を求めてやまない。だから彼を想って目を閉じた時、例えそれが電車の中でも、街頭であっても、彼と似た匂いを嗅ぎ取ると自制できずに、その人に彼の面影を重ねてしまったりする。
もっと触れて、もっと愛して。
甘えて頬を摺り寄せてくるところも、力強く私を抱く腕力も、私にとっては"男"としか思えない。どんなに年齢が離れていても、周りからどう見られても、馬鹿馬鹿しくなるほどだ。
もっと強く抱いて。痛みを感じるほど。
傍にいる証明に、目を閉じていても私に夢中だと感じさせて。ずっとこれからも離さないと誓う代わりに、私の胸にたくさんの痣を残してほしい。ほんの少しでも湧き上がる不安を吹き飛ばすように、耳元で囁いてほしい。
彼がいるから、私は女であれる。
愛に溺れて、塗れて、染まっていく。彼の世界に、彼の色に。
降り積もった雪に凍えることがないように暖めて。雪が解けてもなお、一番傍で見ていたい。
「あ、もう12時だ」
ベッドの中で汗ばんだ体で私を抱き締めた彼が、枕元の時計を見て言った。
「帰らなきゃ、終電なくなっちゃう」
起き上がろうとした私を、彼が慌ててねじ伏せた。
「電車はだめだって。もう今日は帰さないから」
「でも・・・」
「帰さない」
また唇が重なって、私は流されるように目を閉じていた。
私を過保護にして、男として守ってることを主張してくる彼がいとおしい。こうしてまた彼に抱かれ、寄り添って眠り、目覚めた朝、また愛されることが何にも変えがたい幸せだ。
彼の前だけで見せる仕草や、彼にしか言わない甘い言葉が、自分のことも潤していく。かわいい女でいたい。女が女であり続けることで、男は男としてい続けられる。互いが互いの性を磨き合うのだ。
この愛が絶える事ない限り、命が尽きる、その時まで。
「こんな時間に電車に乗ったらダメだって言ったろ? 満員電車なんて何があるかわからないんだから」
「大丈夫よ、何もなく無事についたもん」
「無事だったからよかったけど、一人なんだし、また痴漢にでもあったら・・・あんまり俺に心配かけないで」
そう言って彼は大事な物を包み込むように、私を抱きしめた。
先週、二人で選んで納品されたばかりのソファの上で、裕に3人は座れるサイズなのに、端の方で私を膝の上に横座りさせている。彼は意識してない だろうけど、耳元で話す囁き声は、いつだって私を甘く酔わせるから、つい目を閉じてしまう。すると見えなくなった分、私の嗅覚は彼の匂いに敏感になり、肌 はその体温を普段以上に感じ取れるようになる。
「こっち向いて」
目を閉じたまま彼へ顔を向けると、唇同士が重なり、甘美な刺激を執拗に求め合う。
そう、いつだって、一緒にいれない時でさえ、私は彼を求めてやまない。だから彼を想って目を閉じた時、例えそれが電車の中でも、街頭であっても、彼と似た匂いを嗅ぎ取ると自制できずに、その人に彼の面影を重ねてしまったりする。
もっと触れて、もっと愛して。
甘えて頬を摺り寄せてくるところも、力強く私を抱く腕力も、私にとっては"男"としか思えない。どんなに年齢が離れていても、周りからどう見られても、馬鹿馬鹿しくなるほどだ。
もっと強く抱いて。痛みを感じるほど。
傍にいる証明に、目を閉じていても私に夢中だと感じさせて。ずっとこれからも離さないと誓う代わりに、私の胸にたくさんの痣を残してほしい。ほんの少しでも湧き上がる不安を吹き飛ばすように、耳元で囁いてほしい。
彼がいるから、私は女であれる。
愛に溺れて、塗れて、染まっていく。彼の世界に、彼の色に。
降り積もった雪に凍えることがないように暖めて。雪が解けてもなお、一番傍で見ていたい。
「あ、もう12時だ」
ベッドの中で汗ばんだ体で私を抱き締めた彼が、枕元の時計を見て言った。
「帰らなきゃ、終電なくなっちゃう」
起き上がろうとした私を、彼が慌ててねじ伏せた。
「電車はだめだって。もう今日は帰さないから」
「でも・・・」
「帰さない」
また唇が重なって、私は流されるように目を閉じていた。
私を過保護にして、男として守ってることを主張してくる彼がいとおしい。こうしてまた彼に抱かれ、寄り添って眠り、目覚めた朝、また愛されることが何にも変えがたい幸せだ。
彼の前だけで見せる仕草や、彼にしか言わない甘い言葉が、自分のことも潤していく。かわいい女でいたい。女が女であり続けることで、男は男としてい続けられる。互いが互いの性を磨き合うのだ。
この愛が絶える事ない限り、命が尽きる、その時まで。
PR
← イッツマイソウル | HOME | 二人の涙雨+誰よりキミが好きだから【3】 →